本文へスキップ
Thousand Rivers Partners
言語: 日本語
お問合せ

国内市場義務:25%と価格の上限

インドネシアの石炭DMOの仕組み:25%の最低比率、発電所向け石炭の70米ドルの上限、制裁措置、そして両者が鉱山の平均価格に与える影響。

5分で読めます

インドネシアの石炭生産者はすべて、生産量の一部を国内で販売しなければなりません。最低比率はエネルギー・鉱物資源大臣が毎年定めており、長年、各生産者の計画生産量の25%とされてきました。公共の電力網に供給する発電所へ売る石炭には、1トンあたり70米ドルの上限があります。

これが国内市場義務(DMO)です。投資家にとっては、鉱山の販売の一部が、政府の定める条件で国内の買い手に向かうことを意味します。その多くは上限価格で、輸出市場の価格にかかわらず変わりません。

義務の仕組み

鉱業法は、政府が国内の需要を輸出より優先することを認めており、エネルギー・鉱物資源省はこれを毎年の義務に落とし込みます。鉱業事業許可(IUP)、特別鉱業事業許可(IUPK)、残る石炭事業契約(PKP2B)のいずれを持つ生産者も、作業計画・予算(Rencana Kerja dan Anggaran Biaya、RKAB)で承認された生産量のうち、定められた比率以上を、インドネシア国内の買い手に販売しなければなりません。

最大の買い手は国営電力会社PLNで、PLNに電力を売る独立系発電事業者もこれに含まれます。残りは、セメント工場、肥料メーカー、製錬所などの産業が買います。同省は、PLNへの供給を市場任せにしていません。生産者を指名して、数量を割り当てています。2026年は、RKABの承認を受けた会社に2億1200万トンを割り当てました。PLNの需要1億5400万トンをまかなうためです。鉱物・石炭総局長によると、2026年5月までに1億4400万トン分の契約が結ばれました。

実際の国内販売は、最低比率を上回ることがあります。エネルギー・鉱物資源大臣によると、2025年のインドネシアの生産量は7億9000万トン、輸出は5億1400万トン、国内販売は2億5400万トンで、約32%でした。

2026年の比率

最低比率は計画生産量に対する割合なので、生産計画に連動して動きます。2026年について、エネルギー・鉱物資源省は全国計画を約6億トンに削減し、多くのIUP保有者が大幅な削減を受けました。2026年1月、大臣は、その25%では国内需要をまかなえず、比率は引き上げられると述べました。そのときは新しい数字が定められず、同省は検討中だと説明しました。

そのため、25%と決めつけないでください。その年の義務を定めた大臣決定と、投資を検討している会社に同省が割り当てた数量を求めてください。

価格の上限

2018年以降、公共の発電用に販売される石炭は、1トンあたり70米ドルが上限です。この上限は、受け入れ基準の総発熱量(GAR)で6,322 kcal/kgの基準炭に対して設定され、ほかの品質の石炭には調整が加えられます。上限なので、効力が出るのは市場価格がそれを上回るときだけです。石炭基準価格(Harga Batubara Acuan、HBA)と市場指数の仕組みは、石炭の価格で説明しています。

セメントメーカーと肥料メーカーは、別の上限価格で購入します。現在の金額と対象となる買い手は、エネルギー・鉱物資源省の大臣決定で確認してください。

上限は、コストに合わせて動いていません。2026年6月、大臣はDMO価格を見直すと述べました。生産者が、採掘コストの上昇に価格が追いついていないと訴えたためです。多くの発電所が使う5,200 kcal/kg前後の中カロリー炭も、入手しにくくなっていました。その後、新しい価格が決まったかどうかを確認してください。

制裁措置と2022年の輸出禁止

比率に届かない生産者は、不足分を埋めるまで輸出を禁じられることがあります。不足したトン数について、罰金や補償金の支払いを命じられることもあります。この記録は会社に残るため、株式を買うと、売り手が残した不足分も引き継ぎます。

政府は、それ以上の措置もとってきました。2021年12月31日、PLNの発電所の石炭在庫が減っていたため、2022年1月の石炭輸出をすべて禁止しました。2週間以内に、義務を果たした生産者から順に、段階的な解禁を始めました。この件は、発電所の石炭が足りなくなれば、輸出販売が急に止まりうることを示しました。

DMOが鉱山の価格に与える影響

石炭の4分の1を上限価格で、残りを海外で売る鉱山は、2つの価格が混ざった平均価格を手にします。その品位の上限価格が、同じ石炭が海外で付ける価格を大きく下回っていれば、国内向けの1トンごとに平均が押し下げられます。世界の価格が上限に近づけば、その差は縮まり、義務のコストは小さくなります。

品質も影響します。発電所は特定の品位の石炭を燃やすように造られているので、PLNの発電所に合う石炭を持つ鉱山は、国内向けの割当分の売り先を見つけやすくなります。合わない鉱山は、比率を満たせず、代わりに補償金を払うことがあり、これは別の形で平均価格を押し下げます。ロイヤルティと税金は、どちらの販売からも差し引かれます。詳しくは石炭のロイヤルティと税金で説明しています。

署名の前に

  • 過去3年分の、会社のDMO実績を求めます。国内で販売した数量、買い手、価格、不足についてエネルギー・鉱物資源省から届いた書簡などです。
  • 罰金や補償金を払ったことがあるか、輸出を止められたことがあるかを調べます。
  • 石炭の発熱量、灰分、硫黄分、水分が、販売先の発電所に合っているかを確認します。
  • 国内向けの供給契約を読みます。数量、価格の算定式、違約金、期間です。
  • 国内比率を25%とそれより高い比率にそれぞれ置き、その鉱山の品位の上限価格を使って、平均価格を試算します。

DMOの実績は、石炭鉱区のデューデリジェンスで取り上げる、より広い確認事項の一部です。

一般的な情報であり、法務・税務・投資に関する助言ではありません。規則は変わるため、行動する前に現行の規制を公証人または弁護士にご確認ください。