本文へスキップ
Thousand Rivers Partners
言語: 日本語
お問合せ

インドネシア炭の価格の決まり方:HBA、HPBと指数

政府の基準価格の役割、市場指数・販売条件・品質が鉱山の受取額を決める仕組み、2025年と2026年に輸出ルールで変わった点。

5分で読めます

インドネシアの炭鉱は、2種類の価格を扱います。1つは、買い手と合意する市場価格で、通常は指数に連動し、品質に応じて調整されます。もう1つは、政府が定める価格です。これがロイヤルティを決め、2025年3月からは輸出販売の下限価格にもなっています。2027年からは、国営企業が鉱山と海外の買い手の間に入ります。

市場価格だけを使った収益モデルは、誤ったものになります。両者の差と、それをめぐるルールが、低品位の鉱山が利益を出せるかどうかを左右することがあります。

基準価格(HBA)

石炭基準価格(Harga Batubara Acuan、HBA)は、エネルギー・鉱物資源大臣の決定で定められます。2025年3月からは月に2回、1日と15日に公表され、各決定の適用期間は約2週間です。発熱量の4つの区分、6,322、5,300、4,100、3,400 kcal/kg(GAR)ごとに設定されます。

エネルギー・鉱物資源省はHBAを、主に鉱山会社がロイヤルティの申告で報告する価格から、時間差を伴って算出します。そのためHBAは、リアルタイムの市場価格ではなく、直近の販売の記録です。市場が下がると、HBAは数週間、買い手が払う水準より高いままになることがあります。市場が上がると、HBAは後れをとります。

HBAからHPBへ

鉱山が、4つの基準品位のいずれかとぴったり同じ石炭を売ることはまれです。期間ごとに、HBAは実際の品質ごとの石炭ベンチマーク価格(Harga Patokan Batubara、HPB)に換算され、発熱量、水分、硫黄分、灰分で調整されます。

この2つの指標が重要な理由は2つあります。1つは、ロイヤルティがHPBを基に計算されることです。HPBを下回る価格で売っても、ベンチマーク価格で売ったものとしてロイヤルティを払います。もう1つは、多くの許可で、HBAがロイヤルティ料率そのものを決めることです。HBAが上がるにつれて、料率が段階的に上がるためです。料率は石炭のロイヤルティと税金で説明しています。国内市場義務に基づいて国内の発電所に売る石炭には、別の上限価格が適用されます。これはDMOの記事で説明しています。

2025年と2026年の輸出ルール

2025年2月24日に署名されたエネルギー・鉱物資源大臣決定72.K/MB.01/MEM.B/2025は、2025年3月1日から、輸出業者に対し、輸出販売の基準としてHBAを使うことを義務づけました。それまでは、ほとんどの契約が、インドネシア石炭指数(ICI)やニューカッスル石炭先物などの市場指数を基に価格を決めていました。エネルギー・鉱物資源省は、その狙いは石炭が安く売られすぎるのを防ぐことだと説明しました。

買い手は反発しました。当時、HBAが各指数より高かったためです。3月の最初の数日は取引が鈍り、同省は3月後半にHBAの値を引き下げました。2025年4月の中国向け出荷は、前年同月より約20%少なくなりました。同省は、その原因をこのルールではなく中国の需要の弱さだと説明しました。既存の長期契約は、それぞれの価格算定式を維持することが認められました。

2026年には、さらに大きな変更がありました。2026年6月1日に施行された2026年政府規則第24号は、石炭を戦略的な輸出品目としました。2026年貿易大臣規則第15号により、石炭の輸出は、国営の輸出会社PT Danantara Sumberdaya Indonesia(DSI)を通じてしか行えません。2026年12月31日までは、鉱山会社は引き続き買い手に直接販売しますが、販売のたびにDSIへ報告します。また、出荷ごとに、石炭の登録輸出業者としての許可(Eksportir Terdaftar Batubara)と、指定されたサーベイヤー(検査機関)の報告書が必要です。2027年1月1日からは、DSIが唯一の石炭輸出業者になる予定です。Danantaraは、価格を一方的に決めることはなく、品質、仕様、物流コスト、契約条件を反映すると述べています。それが出荷ごとにどう運用されるのか、DSIがどれだけのマージンを取るのかは、輸出価格を当てにする前に確認すべき点です。

市場指数と販売条件

政府が定める価格のほかに、インドネシア炭は、取引と買い手・売り手への調査から作られる市場指数を物差しに取引されます。ICIは、カリマンタンで積み込まれる数種類のインドネシア炭の品位について、毎週公表されます。ニューカッスルの価格は、より高品位のオーストラリア炭のもので、地域の相場の基調を左右します。中国南部とインドへの着地価格も重要です。この2か国が、インドネシア炭の最大の買い手だからです。

販売条件も価格を動かします。FOBバージの場合、買い手は売り手の桟橋でバージ船に載った石炭を引き取り、川の輸送と船への積み込みの費用を負担します。FOBベッセルの場合、売り手は石炭を外航船に引き渡します。引き渡しは通常、沖合の錨地で行われ、バージ輸送と積み替えの費用は売り手が負担します。CFRまたはCIFの場合、売り手は買い手の港までの海上運賃(CIFでは保険料も)も支払います。これらの条件をまたいで価格を比べるには、まずこうした費用を足すか引く必要があります。カリマンタンでの費用の目安は、運搬、バージ輸送、港で説明しています。

品質による調整

石炭の売買契約には、標準的な品質と限度値が定められます。価格は、契約上の標準値に対して実際に引き渡された発熱量に比例して動きます。水分、灰分、硫黄分が基準を超える場合は、通常ペナルティが科され、受け入れ拒否の限度を外れた石炭は引き取りを拒否されることがあります。

数字を出すのは独立したサーベイヤーです。積み込み時に石炭をサンプリングし、請求書の根拠となる品質証明書と重量証明書を発行します。契約上の品質を下回る石炭を日常的に出荷している鉱山は、表面上の価格から見込まれるより少ない収入しか得られず、それはこれらの証明書に表れます。

鉱山の収益をモデル化する前に

単一の数字ではなく、価格の裏付けとなる販売記録を求めてください。

  • 価格算定式、販売条件、品質の限度値が記載された販売契約
  • 少なくとも過去2年分のサーベイヤーの証明書と請求書
  • 各出荷に適用されたHPBと、それに対して支払われたロイヤルティ
  • DMOに基づき国内で販売した生産量の比率と、その価格
  • 2026年6月1日以降、各輸出契約がDSIにどう報告されてきたか

そのうえで、その鉱山の品位に合った指数から価格を組み立て、販売条件と実際の品質で調整します。同じ石炭のHPBと照らし合わせてください。販売価格が低い場合、ロイヤルティはベンチマーク価格に従うためです。さらに、今署名しようとしている契約を、HBAの下限とDSIがどう扱うかを、鉱業に詳しい弁護士に尋ねてください。2027年1月1日に輸出の経路が変わるからです。

一般的な情報であり、法務・税務・投資に関する助言ではありません。規則は変わるため、行動する前に現行の規制を公証人または弁護士にご確認ください。